§紅茶の新茶物語§
1997・ 9・30
 月日がたつのは早いもので私が紅茶専門店「ハーヴェスト」を開店して三度目の秋が来た。 初めはよくお客さまにも「本当に紅茶しかないんですネ」と感心されたものだ。
私は常々不思議に思っていた。 「なぜ函館に紅茶屋がないんだろう」とー。
考えると簡単な事で、紅茶に興味ある人はたくさんいるが、紅茶の味を知っている人は少ない。
だから、また飲もうとか、人に作ってあげたい、という気持ちにならないのだろう。
私も反骨精神だけで紅茶の世界に入った。 だから、初めは不安の日々だった。
店名の「ハーヴェスト」は「収穫」を意味する。今、畑や田んぼはまさに、収穫シーズン。
もう少しで日本人が待ち望んでいる新米が出荷される。
 私はよく自分で主催するティーセミナーの時、紅茶を説明するのに、コメを例にとる。紅茶もれっきとした農作物であり、 紅茶の産地のインドやスリランカでは、いまだに女性の手で葉を摘んでいる。コメは絶対に新米がおいしいに決まっている。 だれも古米や古々米など好んで食べたいとは思わないだろう。
 紅茶もまったく同様で、取れたての紅茶が絶対おいしい。
草っぽい緑の香りがし、味は甘く、深くまろ味があり、 トロッとしている。
水色(すいしょく)は赤く透き通り、何とも言えないおいしさだ。 絶対渋くない。この紅茶の味を多くの人に味わっていただきたい。そのためにも、どうしても「紅茶屋」が必要だと思ったのだ。
紅茶には数々の歴史がついてまわる。アヘン戦争も紅茶が原因だった。
また、ウイスキーで有名なカティーサークだって、 もともとは紅茶を運ぶための船の名だ。
「ハーヴェスト」には、できたてのフレッシュティーが年三回、二月、六月、十月に紅茶の国スリランカから届く。 四ヶ月に一度の割合だ。
世界のティーテイスターたちは言う。「紅茶は百l鮮度が命、 半年もすると、味や香りはできた時の半分以下の品質になってしまう」
これは紅茶にとって当たり前の事で、紅茶だって農産物なのだ。緑茶を愛している日本人は十分理解できる事だと思う。 緑茶も紅茶も、同じ木から作るものだから。
 ところで、言い忘れたが「ハーヴェスト」という名には、「葉―最高」という意味も込めてつけた。 分かっていただけました?


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